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夢の話。ちょっと怖いかも。
 

 

友人とドライブしている夢なんだけど、途中で車が勝手に蛇行し始めて、

これはやばいと思った私たちは帰ることにした。

信号待ちしていると警官が来て何かぼそぼそと言っている。

何を言っているのかわからないし、暗くて相手も俯いているしで顔が見えない。

「え、なんですか?」

友人が声をかけるとお前じゃないというように首を振り、私のほうに腕を伸ばしてきた。

真黒で影のような腕が伸びてくる。

捕まりそうになったがちょうど信号が青に変わって、友人が車を走らせたので何とか振り切ることができた。

「なんか、ヒャクバンセン……ヒャクバンセン……みたいなこと言ってたね」

「そんなこと言ってました?」

話しているうちに家の近所まで来た。

車から降りて友人と別れ、真っ暗な道を一人で歩く。

途中で父の店が見えて、明かりがついてて中に誰かいるので、父かと思って期待してのぞくといたのは叔父さんで。

お父さんはもう帰ったと言われ、一緒に乗せて帰ってもらおうと思っていたのでがっかりしながら暗い橋を渡って駅のほうに一人で歩いていく。

足元も見えない、街灯のない橋の上。

知っているから歩けるものの、さすがに河川敷を通る自信はなかった。

かすかに明かりのついている駅のほうへ向かう。

「あなた、変なのに目をつけられてるね」

駅前で少女に声をかけられた。

黒髪(おかっぱより少し長かったかな?)、金色の大きな瞳。

赤い着物の少女は人懐っこそうな、しかしやけに大人びた口調で問いかけてくる。

「私?友人じゃなくて?」

「友達もだけど、あっちはまた別。……相手に心当たりがあるんじゃないの?」

「……伏見稲荷」

「やっぱりね。私も狐だけど、あなたを守ってあげるから安心して」

ぴょこんと薄茶色の耳を出して少女は微笑む。

力を貸すのに契約が必要だそうで、何の説明も受けずに紙のような札のようなものを渡される。

左上のマスの中に〝はな″という文字が浮かんでいる。

私はなぜかそれを〝花″と漢字に変換させたいのだが、文字に触れてもゆらゆらと揺れるばかりで変化がない。

何度かやってみても同じ。

何の変化もない。

「これでいい?よくわからないんだけど」

「うん、いいよー」

名前などは一文字も書かず、最初に渡されたままのものを返すと少女は軽い調子で受け取る。

いったい何だったのかよくわからないが、この狐耳の少女を連れて帰らなければならない。

両親にどう説明したものかと頭を悩ませながら家に帰る。

しかし、両親は特に問い詰めてくることもなく、まるでこの少女がいるのが当たり前であるかのようだった。

安堵もつかの間、廊下の向こうから爆発音。

続いて家が大きく揺れ始める。

「来たようね」

「ど、どうしよう」

「大丈夫。心配しないで待ってて」

おびえる私を残して少女が暗い闇のような影のものに向かっていく。

闇は深く、質量もあるようにみえる。

このままでは少女がやられてしまう。

私は両手を握りしめ、固く目をつぶって祈った。

「どうか、助けてください」

強く祈り、ふと顔を上げると目の前に美しい女性が毅然とした様子で闇を見据えている。

「よし、一丁やってやるか!」

女性の隣に現れた凛々しい男性は楽し気に闇を見つめて手を鳴らす。

「(天照大神と素戔嗚尊!?)」

なぜそう思ったのかはわからない。

もし、そうだったとしても私ごときが祈ったところで上位の神々が二柱も降り立ってくださるとは思えない。

とはいえ、ただならぬ気を纏っているのは確かで、私は床にへたり込んだまま呆然としていた。

二柱の神に呼応して次々と援軍がやってくる。

眩い光を纏い、闇へと向かっていく。

「私たちも加勢いたします!」

声も高らかに、大勢の烏天狗たちが槍を手に闇に向かっていった。

虹色の眩い光が闇を押し返し、打ち払う。

私はそれをただぼんやりと見ていた。

しばらくして我に返ると部屋には私一人だけだった。

真っ暗だった家も外も薄明るくなっている。

外に出れば枯草の生えた空き地。

反対側の窓から外に出れば、梅の木のようなものがいくつか生えていて、そこにたくさんの小鳥の人形がついていた。

地面にはいくつもの小鳥の人形が枝ごと落ちていて、それが討ち死にした烏天狗を表していることに気付いて、

感謝すると共に悲しくてつらかった。

相手を撃退できたのはわかったけど、狐少女の安否はしれなかった。

……そこで目が覚めたんだ。

本当に怖い夢でした……

 

前の夢が玄関だったのに対し、今回は私の部屋からまっすぐ奥の部屋の前あたり。

まさか、近づいてきている?

いや、気のせいだよね……?

 

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